2012年2月12日日曜日

創作談義『ティガレックスの天敵』


注!この先ハンターの出番はありません。


 最強の飛竜って何だろうか?

 MHプレイヤーなら一度は考えたことがあるかと思います。答えは人それぞれでしょう。

 リオレウスだという人,あるいはその希少種,グラビモス,ディアブロス,アカムトルムにウカムトルム……。生息場所も習性も違うのだから比べることに意味なんてないという人。

 意見,異論はもちろん受け付けますが,自分にとっての答えは決まっています。


※この先,妄想注意報。


 自分が思う最強の飛竜はこちらのかたです。

この面構え,G級につき


 どなた?と首をひねる方も,あいつかと得心の方も。

 こいつの名前はシェルレウス。ハンター大全1にて絶滅種として紹介される飛竜です。

 そしてこのシェルレウスこそが,最後のティガレックスの謎を解き明かす手掛かりになるのではと考えています。

 このシェルレウスというモンスターについて少々考えてみますと。

・四肢での歩行により地上速度は速めか。
・分厚い甲殻に覆われているため,かなりの防御力がありそう。
・鋭い角と爪を持ち,上述のスピートと併せて攻撃力も高いか。

 ……とまぁ書いておいてなんですが,サイズを考慮しなければティガレックスの上位互換といって良いぐらいのスペックです。おそらくタイマンで交戦した場合はティガレックスでも餌食になるというか,このシェルレウスの主食は大型飛竜種だったのではと思える程のパワー過剰な生物です。

 絶滅種ということで,同世代のモンスターはワイバーンレックスやティガレックス,他の絶滅種あたりでしょうか。成り形を観ると ワイバーンレックス→ティガレックス→シェルレウスという感じで進化した飛竜なのかもしれません

 今回のタイトルの冠するティガレックスの天敵。自分の考えるにこのシェルレウスこそがティガレックスの天敵足りえる飛竜です。

 しかし,これだけ恵まれた能力を持ったシェルレウスは何故絶滅してしまったのでしょうか?

 ハンター大全によれば,この種が滅びた理由には“環境の大きな変化”があったとのことです。
 この環境の大きな変化とは何ぞや?

 この辺り,自分も借りた資料で色々と調べて考えてみました。

 地球上において,過去から現在に至るまで多くの生物が環境の変化により絶滅してきました。その環境の変化とは,隕石落下のようなとんでもないインパクトを除けば,気候変動に集約されます。

 古第三紀,新第三紀,第四紀(現代)の間でも大陸は温暖湿潤⇔寒冷乾燥のサイクルを繰り返してきました。
 色々と端折って解説しますと,温暖湿潤の気候の場合大陸には密林や湿地帯が広がり,狩りの様式は奇襲襲優位,生物も小型で柔軟性に富むものが繁栄します。
 逆に寒冷乾燥の場合,大陸は草原地帯やサバンナが広がり,狩りの様式は追跡優位,生物は大型でスピードに優れたものが繁栄します。(白亜紀やジュラ紀は温暖乾燥なので巨大な恐竜が繁栄した感じですね)

 ここでティガレックスやシェルレウスにとって好ましい環境を考えると,寒冷乾燥の気候だったのではないでしょうか。森林地帯,洞窟,沼地などにティガレックスが現れた例は今のところありません(Fは知りませんけど)。これは混み入った地形において四肢での歩行が不利だったのではと予想できます。


森林で見られるワイバーン達















似 たような格好で森林地帯に適応した種であるナルガクルガは軽量で柔軟な体を持ち,狩りの様式も“奇襲”に特化しています。リオレウスやガノトトスは空中,水中からの奇襲手段を持ち,牙獣種・甲殻種は言わずもがな。

 恵まれた身体能力を以て“強襲”を旨とするティガレックスには森林は不利なフィールドであると考えられます。四脚歩行は急傾斜地などに対して強い踏破力を持つ代わり,大木などの障害物を避けながら速度を維持するのは難しいのです。
 せめて虎のように正面からみた面積が小さいならまだしも,ティガレックスの横幅はワイバーンの中でも屈指ですからねぇ……。リオレイアの火球のような気の効いた遠距離武器もないし。

 なんだか長くなりましたが,要はシェルレウスやティガレックスにとって温暖湿潤な気候は好ましくない。ハンター大全の示す環境の大きな変化とは寒冷乾燥→温暖湿潤という大陸規模の気候変化だったのではないかと推測します。


ここより大胆な妄想を展開しますと。


気候変動が発生。大陸全体の気温と降雨量の増加。

→草原のような開けたフィールドの減少。逆に森林のような複雑なフィールドの増加。

→草食動物にとって安全な場所が提供される。強襲型の捕食者はそれに対応できず,新たな条件に対応した奇襲型の捕食者が増えていく。

→食うに困った捕食者は生息地域の大幅な変更を迫られる。大移動である。しかしその際に立ちふさがるのが海であり,山脈である。これらを乗り越えるには“飛行”による移動が必要になってくる。

→飛行に適したワイバーン(レウス系列)や,温暖湿潤な環境に適応したワイバーン(ガノトトスら)が発生する。

→一方飛行の苦手なティガレックスやシェルレウスには非常に厳しい環境。

→特にシェルレウスはティガレックス以上に寒冷乾燥の環境に適応しているとみられ,甲殻による重量増はティガレックス以上に飛行に適さないと考えられる。またティガレックスの大移動の要となる“大鳴き袋”が存在しているかも不明。絶滅に至った原因か。

→ティガレックスは大移動によって雪山や砂漠といった乾燥した環境に逃げ込む。


 ティガレックスとシェルレウスにはこのような斜陽があったのではと考えています。重要なことは,ティガレックスは砂漠や雪山の環境を“選択”したのではなく“追いやられた”という点です。
 
 本来のフィールドはあくまでも草原であり(4のPVでもそれっぽい),砂漠と雪山の二重生活は苦肉の策に過ぎない。しかしそれでも生活環境の劣化によって個体数の減少が生じ,ディアブロスやドドブランゴの発生によってニッチはさらに減少していく。

 つまりこの観点でいくと,ティガレックスは生態的な立ち位置で言えば環境に適応しきれていない“弱者”といえましょう。


 あぁ,ようやく。


 ようやく声を大にして言える。


 ティガレックスは弱いのだ!!

 自分はこの一言を言いたいが為に三部にも渡る考察を書き連ねてきたんですよ!
雪山も,砂漠も,渡りも。本来のティガレックスの生き方じゃあない。何頭ものティガレックスの群れが草原を駆け抜け,草食動物を片っぱしから貪りながらもシェルレウスに追い散らされる。これこそが彼らの生態の原風景であり,自分が夢想するワイバーン達による力の祭典なんです。知恵を圧倒する力の時代。そこに人間達は僅かな場所に隠れて細々と暮らすほかありません。いつか来るであろう,反撃の日を夢見ながら……。


 以上が自分の考える妄想の終着地点です。


 それでは最後にまとめとして自分の考える現行のティガレックスの立ち位置も紹介してみます。


<撹乱依存種としてのティガレックス>


 撹乱依存種というのはそもそも動物用語ではなく植物用語です。簡単に言えば,雑草の類のことです。強い繁殖力と成長速度を持っているため初めは未成熟な土地を覆い尽くしますが,時間と共に樹木類に背を越されて光を得られなくなり土地から消えていく種です。

 今回は草原,草原,雪山=未成熟な土地。森林,湿地帯,密林=成熟した土地として考えて頂ければと思います。

※草原=未成熟というのは些か横暴かも知れませんが,今のサバンナを観ていると人間の活動のみならず動物たちの“踏圧”の影響が強いと思っています。樹木が小さい内に踏んづけちまえば,大きくならないよね,ということですね。農地なども樹木が芽吹く前に畑が耕されるので永遠の未成熟な土地になります。


踏み荒らし発動!全てのクリーチャーはry

 ティガレックスの生存条件として好ましいのは未成熟な土地というのは上述したとおり。また,ティガレックス自身も強い撹乱作用を持っていると思います。こいつらが何頭も走り回っていたら,それこそ樹木が伸びる隙などなさそうですしね。また人間の活動範囲の増加に伴う森林伐採などが行われると,それだけティガレックスにとって好ましい環境が増えます。ティガレックスが人前に姿を見せ始めたのは,実は人間活動の広域化が原因なのかも知れません。


 ともあれ,大陸の多くが未開拓な現状において,ティガレックスの生息場所として一番候補が砂漠になります。次点は火山でしょうか。しかし砂漠には既に環境に最大限適応したライバルが多いため,繁殖期の栄養を支えきれません。
 若いティガレックスならば年間を通して砂漠に棲みますが,成熟した個体は寒冷期の終わりに雪山へ渡り,ポポを摂食することで子供の栄養を賄います。そして子供が成長したら再び砂漠に帰って普段の生活に戻ります。雪山で寒冷期を迎える場合は冬眠などでやり過ごす場合もあるでしょう。

 以上が自分の考えるティガレックスの生態になりました。

 ついでに捕捉。ティガレックスと他の捕食者が遭遇したパターン。

 真正面からティガレックスと向き合った際に危険性はハンターならずとも十分認識されているものと思われます。そこで,他の捕食者のとるベストな行動としては,対立よりも一時的避難が考えられます。

 そもそもティガレックスの狩りの形態は優れた身体能力による強襲特化。しかし洞窟内や森林に逃げ込まれるとそれを発揮できません。また,雪山においては常に動いて熱を生み出す必要があるため,洞窟の入り口で我慢比べも出来ません。おそらく砂漠においても水分摂取の関係上,岩の裂け目に逃れたアプケロスにはどうにも出来ないでしょう。
 ダイミョウザザミ・ガレオス・ディアブロスは地下へ,リオレイアは空中へ,ゲネポスは洞窟へそれぞれ逃げ込まれれば打つ手なしです。まぁ地下への対抗策としては咆哮がありますが,ティガレックスの咆哮範囲では正直厳しいものと思います。

 通常のティガレックスの狩猟生活は,空中からの落下のごとく着地し,獲物が岩の裂け目に逃げ込むまでの短い時間がティガレックスにとっての勝負所となるでしょう。逆にそれ以外の時間は天敵の不在により被捕食者となるリスクがないため,極力エネルギーを消費しないよう日陰で寝そべっているのではないでしょうか。

……結構可愛いかもな!



 ふいー。これで三回に渡ったティガの生態考察は一応の終結です。

 しかし忘れて欲しくないのは,これは決して完成版ではないこと。あくまでも自分の聞き知った範囲で一番それっぽいものを構築したに過ぎず,色々と変更点が出てくるはずです。

 ですんで,俺・私はこう思うっていうティガの話があったら,是非是非(`・ω・)b


 それでは,こんなところで|・ω・)ノ


参考文献

生物進化の大図鑑 マイケル・J・ベントン他




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