2012年1月17日火曜日

創作談義『ティガレックスの行方』



を飛ぶ虎


 はいどーも。今回の記事は前回に引き続き,ティガレックスの生態考察になります。

 前回が問題提起でありましたので,今回でその解答となるのが筋なのですが……。今回はその前の基礎固め回になります。

 現実の動物が多数取り上げられるので,MHを知らなくてもそこそこタメになる話かも?





 <砂漠と雪山の環境>


 砂漠と雪山。一見してこの相反する二つの環境。と前回銘打ったのですが,実はこの二つの環境にはいくつかの相違点があります。

 これはマッキンリー山を昇った経験のある友人に聞いたのですが,北緯50°以上,標高6000m級のマッキンリーといえども,夏の正午は意外と暖かいそうです。気温も10~20°ぐらいはあったとか。
 雪山といっても年がら年中寒い訳ではなく,ちゃんと時期さえ選べば通常の動物も生息可能な温度なんですよね。つまり,ティガレックスがあまり寒さに強くなくても,温暖期であれば居てもおかしいわけではないと考えられます。



マッキンリー山。最低気温は-70°を下回る。登山家でも考えなしに挑むと死にます。

さて,ここで雪山と砂漠の相違点なのですが,ケッペンの気候区分でいえば砂漠はサバンナ気候。雪山はツンドラ気候もしくは高山気候になるでしょうか。
(まぁ詳しいことはWikipediaなどで補完してください)

この二つの気候の相違点をざっくり上げると。

・昼と夜の気温の変動が大きい。
・降水量は少なめで,乾燥している。
・植生は草原や低木など,背の低い植物からなる。

となります。これってつまり,平均気温以外は良く似た環境だという事なんですよ。現に砂漠と高山って似た生物がいます。



ラクダ(砂漠)

ラマ(高山)




アンデスコンドル(高山)
ハゲワシ(砂漠)
         

 結構似てません? まぁ写真だけじゃあなんとも言えないかも知れませんが。

 この点,MH3rdで出現したボルボロス亜種やベリオロス亜種がそれぞれ生息地が逆転しているのも頷ける適応した結果と言えますかねぇ。

 ティガレックスの話に戻ります。爬虫類の特徴というか強みの一つに,生活習慣の改変が得意というものがあります。
 代表的なものは冬眠でしょう。哺乳類で冬眠できるのは熊か蝙蝠ぐらいなのですが,爬虫類は相当の種類が冬眠できます。そしてこちらはあまり知られていませんが,砂漠に棲むカエルやヘビは干ばつ時に休眠することができます。

 ティガレックスにおいても,このあたりの冬眠や休眠を用いて,うまく砂漠の酷暑や雪山の極寒を耐え忍んでいるものと考えられば,砂漠と雪山,二つの環境を行き来していても,それほど無茶な生態ではないと思いませんか?


※休眠に関する逸話
 ある日,気候変動と農業灌漑の余波でとある川が干上がってしまったそうです。その川にはワニが棲んでいて,住民もさすがに死んだと考えていたのですが,おかしなことにワニの死体は見つからなかったそうです。ではワニは何処にいたのか?答えは干乾びた川の底,数十センチしたの地中で休眠していた。そして雨の日と共にワニは川に現れたとか。その川が干上がったのは歴史上初めて。もちろんワニにも休眠する習慣などなかったはずです。爬虫類ってすごいんですよ。


<渡りと高空飛行>


 ティガレックスがどのように雪山から砂漠へ移動しているのか。このような大移動を考える際には,渡りをしている鳥の皆さんに意見を聞いてみましょう。

※鳥の渡りに関しては今でもかなり謎めいた習性ですので,ミスや勘違いはご容赦ください。


 そもそも渡り鳥がどの程度の高度まで飛べるのかというと,実は8000m以上の高度でも確認されているんです。しかも特別強靭な鳥というわけでもなく,飛行機のパイロットが白鳥やシギ,ツルの渡り集団を6000mクラスの高度を飛ぶの発見した例もあります。

 そしてなんで渡り鳥がこんなに高高度を飛行するのかというと,一言で言えば楽だからです。
高高度は地上との摩擦がないため,風が非常に強いので(高層風とも呼ばれます),追い風にさえ乗ればエネルギーの節約になります。
 しかも基本的にこの高度での飛行は羽ばたきではなく滑空がメインとなるため,ティガレックスにも優しい設計。大移動の際にこれを利用しない手はありません。

 しかし,高高度を利用するためにはいくつかの試練が待ち構えている訳です。

 その代表的なものは低酸素域であることです。
 高度6000mともなれば,酸素量は地上の三分の一。人間であれば失神もしくは高山病の恐れがあります。鳥はこの低酸素域を,九つからなる気嚢によって効率よく酸素を取り込むことで乗り切っているのです。

 では,飛行の苦手なティガレックス君はこの低酸素に耐えられるのか?

 ここでMH2ndのプレイヤーは,あるアイテムを思い出していただきたい。あっ,素材ボックス開いたって駄目よ。

 ……その素材とは,大鳴き袋です! あっ,農場の氷塊壊すのに使う奴です

 ティガレックスの咆哮を支える,強靭な呼吸器官。これによって大容量の空気を収集することが出来れば,飛行に適さないティガレックスでも高空に対応できるのではないでしょうか。

 つまり,ティガレックスの大移動は可能なのです。やったねティガレックス!



※渡りの飛行速度
渡り鳥って実はものっそい速いんです。ハクガンは一日2000kmも飛んで,一日二日で繁殖地に到着します。その間なんと平均時速83km!しかも,最速の渡り鳥って実はカモ類なんですよね。カモ類は無風でも巡航速度は時速70km台。風に乗れば時速100kmクラスの速度を出して飛行するみたいです。


車と並走するカモとか,ちょっと想像できないですよねぇ。



<ティガレックスの繁殖地としての雪山>


 それではラスト。何故ティガレックスが雪山に現れるのか。まぁタイトルにある通りなんですが,私は繁殖のためだと考えます。まぁ大移動を渡りと言い換え,わざわざ雪山の生息を温暖期に指定したんだから,恣意的な誘導なんですけどね。

 問題は,何故わざわざ砂漠ではなく雪山を繁殖地にしているのかという話なのですが,これにも鳥の渡りがヒントを与えてくれています。

 現状,渡りの主要因は食物を得るためとされています。特に繁殖期ともなると,食欲旺盛な雛のために,短期間で大量の餌を,それこそ独占するほどに獲得する必要があります。現在,日本で子供を一人巣立たせるために必要な経費は3000万円とされる。親はどこも大変なんですね。


 しかし通年で餌が食料があるところはどこも競争力が高いため,渡りを行ってえさ場を占領するわけです。特に冬の寒さが厳しい所は競争率が低く,夏には越冬していた虫や動物が大量に発生します。
 それゆえに渡り鳥は春になると高緯度まで渡っていくわけです(また極北圏の夏は昼間が非常に長く,活動時間を稼げるというのもポイントです)

 これをティガレックスに置き換えてみると,確かに砂漠には肉食種だけでも,ゲネポスやドスガレオス,ダイミョウザザミにリオレイアと,非常に多くのライバルが存在していることがわかります。

 そこで,通常の生活は砂漠であるが,繁殖期になると雪山に渡るというの説を打ち立てたい。通常の生活は砂漠でアプケロス狩り。時期が来れば雪山へ移動し,大量のポポを狩って子育てに勤しむといったところでしょうか。ティガレックスが雪山に赴けば餌を独占できるのは前回説明したとおりです。

 加えて,こちらをご覧ください。

MH2nd,オープニングでの一コマ

















 これは私のティガレックスの生態考察の原点とも言えるものです。一見するとただハンターがティガレックスに襲われているだけなのですが,注目すべき点が二つあります。


 一つは何故かティガレックスが洞窟内にいること。だってねぇ。ターゲットであるポポは洞窟に居ないのに,なんでわざわざ……。

 そしてもう一つ。襲われたハンターは腕の中に大型の水晶塊を抱えています。モンハンプレイヤーならこの辺で察しがつくでしょう。


テメーは俺を怒らせた

















 つまり,OPのティガレックスって卵を盗まれたと勘違いしたんじゃあないでしょうか?それでハンターが水晶を落っことして割ってしまったからもう大変。
 そう言えば絶対強者のクエスト内容って,襲われたハンターの救出なんですが……実は彼らのことだったりして。


 と,以上が私の提示する,雪山=繁殖地説になります。

※渡り鳥の苛立ち
渡り鳥にとって渡りとは本能でするものです。それゆえ,渡り鳥を動物園のような場所で飼育すると,渡りの時期は籠に慣れているにも関わらずイライラし始めるそうです。種によってはかなり凶暴化するとか。ティガレックスの気性が荒いのも,案外そういう所が影響しているのかもしれません。



 ……えっ,まだ発見時期の話とかしてないじゃないかって。


 それは次回『ティガレックスの天敵』にてすべてを公開しようかと思います。ティガレックスがいかなる宿命を背負っているのか,解き明かそうではありやせんか。

 なので今回はこんなところで|・ω・)ノ


参考文献

鳥の雑学がよくわかる本 柴田佳秀
鳥の渡り-鳥は星座を知っている?- ドナルド・R・グリフォン
砂漠に生きる動物 ロー・テート
高山に生きる動物 トニー・ロング


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